信頼性設計を学び始めると、「信頼性」と「信頼度」というよく似た言葉が登場します。一見すると同じ意味のように感じますが、実際には異なる概念です。
この違いを理解しておくことは、信頼性試験やワイブル解析、FMEAなどを学ぶうえで欠かせません。
今回は、「信頼性」と「信頼度」の違いについて、できるだけ分かりやすく解説します。
信頼性とは?
信頼性(Reliability)とは、
「製品が決められた条件のもとで、決められた期間、要求される機能を果たし続ける能力」
を表します。
ここで重要なのは、「壊れないこと」だけではないという点です。
例えば、電動ドライバーで考えてみましょう。
- 正常に回転する
- 十分なトルクが出る
- バッテリーが安定して動作する
- スイッチが正常に動く
これらの性能を、使用期間中に維持できて初めて「信頼性が高い製品」といえます。
つまり、信頼性とは製品そのものが持つ品質や性能の特性を表す言葉です。
信頼度とは?
一方、信頼度(Reliability Function)は、
「ある時間まで故障せずに動作している確率」
を意味します。
こちらは数値で表されます。
例えば、
「100時間使用した時点で95%の製品が正常に動作している」
のであれば、
信頼度は95%
となります。
つまり、
- 信頼性=製品の能力や性質
- 信頼度=その能力を確率で表したもの
という違いがあります。
身近な例で考えてみよう
自動車を例にすると、
「10年間安心して乗れるように設計されている」
これは信頼性の考え方です。
一方、
「10年間故障しない車が98%存在する」
これは信頼度になります。
信頼性は”設計思想”、
信頼度は”数値評価”
と言い換えることもできます。
信頼度は時間とともに変化する
信頼度は一定ではありません。
時間が経過すると少しずつ低下していきます。
例えば、
| 使用時間 | 信頼度 |
|---|---|
| 0時間 | 100% |
| 500時間 | 99% |
| 1,000時間 | 97% |
| 2,000時間 | 92% |
| 5,000時間 | 80% |
新品では100%でも、
使用時間が長くなるにつれて故障する製品が増え、
信頼度は少しずつ低下します。
そのため信頼度は、
「何時間後の信頼度なのか」
という時間とセットで考える必要があります。
信頼度の計算式
信頼度は一般的に
R(t)
という記号で表されます。
Rは Reliability(信頼度)の頭文字です。
例えば、
R(1000)=0.98
であれば、
「1000時間後に98%の製品が正常に動作している」
という意味になります。
信頼性工学では、このR(t)をもとに寿命予測や品質評価を行います。
信頼性を高めるために必要なこと
信頼性を高めるためには、
単に丈夫な材料を使えば良いわけではありません。
例えば、
- 使用環境を考慮する
- 適切な部品を選定する
- 安全率を確保する
- 放熱設計を行う
- 防水・防塵対策を行う
- 振動対策を行う
- 故障モードを分析する
など、多くの要素を総合的に検討する必要があります。
これらが「信頼性設計」と呼ばれる活動です。
MTBFとの関係
信頼性を評価する指標として、
MTBF(Mean Time Between Failures:平均故障間隔)
があります。
これは、
「故障と故障の間の平均時間」
を表します。
例えば、
MTBFが20,000時間の装置は、
平均すると20,000時間に1回程度故障すると考えられます。
MTBFが長いほど、
一般的には信頼性が高い製品と評価されます。
ただし、MTBFは「平均値」であり、「20,000時間までは絶対に故障しない」という意味ではありません。
信頼性と品質の違い
品質と信頼性も混同されやすい言葉です。
品質とは、
製品が要求された性能や仕様を満たしていることです。
一方、信頼性は、
その品質を長期間維持できるかどうかを示します。
例えば、
購入直後は問題なく動作する製品でも、
1週間で故障してしまえば品質は良くても信頼性は低いと評価されます。
つまり、
- 品質=今、正常に動作するか
- 信頼性=長期間、正常に動作し続けるか
という違いがあります。
設計者が意識したいポイント
設計者は次のような視点を持つことが重要です。
- 想定される使用環境で十分な性能を維持できるか
- 部品の寿命は要求仕様を満たしているか
- 温度や振動などの影響を考慮しているか
- 万一故障しても安全を確保できる設計になっているか
このような検討を設計初期から行うことで、市場での故障を大幅に減らすことができます。
まとめ
「信頼性」と「信頼度」は似た言葉ですが、その意味は異なります。
信頼性は、製品が一定期間にわたり期待どおりの性能を維持する能力を表す概念です。一方、信頼度は、その能力を「一定時間後に故障せず動作している確率」として数値で表したものです。
この違いを理解することで、信頼性試験の結果やワイブル解析、寿命予測などの内容も理解しやすくなります。
