コンカレントエンジニアリングの実現

 コンカレントエンジニアリングとは、設計から製造にいたるさまざまな業務関連部署が同時並行的に仕事をして量産までの開発プロセスをできるだけ短期化する開発手法になります。 (Concurrent Engineering/CE/同時進行技術活動)

 3次元CADを上手く活用することで、3D設計モデルを「核」に、コンカレントエンジニアリング(同時並行作業)が実現可能となります。

コンカレントエンジアリングの歴史

 コンカレントエンジニアリングは、アメリカの国防関係の機関であるIDA(Institute for Defense Analysis)によって約25年前(1986年)に企画提案されました。米国国防総省の研究機関DARPA(Defense Advanced Research Project Agency)の兵器調達プロジェクトに関するレポートが始まりと言われています。(1982年)90年代中頃から設計部門に3次元CADが導入されるようになり、生産性に関する要望を早期に製品へ反映しやすくなり、またCAD以外のツールも開発され機能が充実しはじめ、コンカレントエンジニアリングによる開発期間の短縮、コスト低減が進むようになりました。

コンカレントエンジニアリングの定義

 狭義には、製品開発において概念設計/詳細設計/生産設計/生産準備など、各種設計および生産計画などの工程を同時並行的に行うこと。設計部門内で複数の設計者が共同作業を効率的に進めることを指す場合もあります。

 広義には、これを拡張して、企画・開発から販売・廃棄にいたる製品ライフサイクルの全フェイズに関連する部門が、製品の企画や開発、設計などの段階に参加・協働することを言います。

 狭義のコンカレントエンジニアリングは、CAD/CAE/PDMなどのシステムを通じてデータの共有・共用を行い、例えば、意匠デザインと構造解析、強度計算などを同時並行して作業することで、製品品質の向上と同時に開発期間の劇的な短縮を目指します。

 広義のコンカレントエンジニアリングでは、開発・設計のプロセスに、生産や購買、品質保証、営業、マーケティング、サービスの各部門、さらには社外の部品メーカーなどが参加することで、これら後工程の情報を開発者にフィードバックすることで全体的なコストダウンを行うことが目的となります。一般的に「製品コストの8割は設計の段階で決まる」とされるが、従来の意匠、機能、強度などの設計要件のほかに製造コストや生産設備上の制約、ユーザーの要求、保守のしやすさ、廃棄やリサイクルのコストなどを設計者に考慮させることにより、全体のコストが安くなるような部品図を完成させることを狙います。また、後工程の意見が開発初期段階で吸収されているため、製品出荷後の変更なども少なくなることが期待されます。

コンカレントエンジニアリングのコンセプト

製品と関連工程の設計のパラレル化

 仕事のやり方をシリアルからパラレルに変えます。開発期間を短縮するためには、時系列的に仕事が引き継がれ、分担が変わるやり方ではなく、同時並行的、あるいはオーバーラップして作業が行えるように仕事を設計し実行することが必要です。

全ライフサイクルを最適化する設計

 製品ライフサイクルのすべての場面で要求される機能、 品質(Quality)、コスト(Cost)、納期(Delivery)を最適化する製品設計を行います。 使いやすく、作りやすい、保守サービスがしやすい、リサイクルがしやすい製品となるよう、設計の初期段階で配慮しなければなりません。

システマティックなアプローチ

 コンカレントエンジニアリングをシステマティックに行えるようなプロセスになっていなければなりません。つまり、系統的、組織的、体系的に行えるように仕組み化、手順化され、しかも系統的、継続的に改革できるように構成されていなければなりません。

コンカレントエンジニアリングの進め方

 一般的には、チームを編成して行われますが、その作業はほとんどネットワーク上で行われることから、バーチャル・エンジニアリングとも呼ばれます。また、サイマルテイニアス・エンジニアリングという言葉もコンカレントエンジニアリングとほぼ同義に使われ、設計・製造・販売のプロセスを順に行っていく手法をシーケンス・エンジニアリングと言います。

 コンカレントエンジニアリングでは、新製品開発に関連する部門が協力し合い、協調し合うことが基本です。そのときの価値判断の基準は「全体最適」です。全体最適とは、何が全体の利益につながるか、何が全体にとって良いか、ということです。技術の開発期間短縮にとって都合が良いやり方でも、製造のコストを押し上げるのであれば採用できません。最終的にどちらが事業部の利益に貢献するかです。

 関係者が全体最適で協力し合うためには、全員が一斉に1つの方向を向くための「共有ビジョン」を持つことが必要です。それには、みんなを鼓舞する言葉であったり、イメージを共有するための試作品であったりします。工場全体が新製品開発のために技術に協力しようというとき「前工程もお客様」といった、後工程は製品を買ってくださるお客様だから当然大切にしなければならない。しかし、これまで仲が良くなかった、工場の前工程である「開発」をお客様と考えて協力しよう。その効果は作りやすい製品、コストの安い製品、売れる製品となって必ず工場に返ってくる、ということです。試作品や製品カタログを早く作り、イメージを共有し、みんながこれを協力して作るビジョンを共有することが重要なことです。

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