長さ100mmで指示されている製品があったとします。実際の製品は「ぴったり100mmでできている」ということはまずなく、気温や湿度、材質、収縮率などさまざまな条件によって、多少の誤差が生じます。
ここで、その製品にとって、「100mmという長さ」が「どの程度重要なのか」が関わってきます。 「100mmにしたいのに150mmで出来ていた」場合には問題外かもしれません・・・。しかし、「100分の5mm」の差、すなわち出来上がった寸法が「100.05mm」だったら、誤差の範囲として問題ないのかもしれません。
このように、その製品や部位によって許容できる差があります。この許容できる範囲のことを公差と言います。
公差には、大きく「寸法公差」と「幾何公差」の2種類があります。
寸法公差
「寸法のズレがどのくらいまでなら許せるか?」その寸法差のことを言います。
幾何公差
例えば、中心軸など、寸法ではなく、垂直度や平行度などの位置関係(幾何関係)における公差のことを言います。
寸法公差の表現方法
例えば、穴が棒よりも、大きすぎると抜けてしまいますし、小さすぎれば入りません。このような場合には、適正な寸法を指示する必要があり、その寸法の許容範囲を示す必要があります。 寸法公差は、以下のように表現します。
この意味は、『最大許容寸法100.05mmから、最小許容寸法100mmの範囲で寸法を仕上げる』となります。
公差の厳しさとその影響
公差を緩めると加工は楽になるが、後工程の組み立て時にトラブルが発生する可能性が 高まる。逆に、公差を厳しくしすぎると組立工程でのトラブルは抑制できるが、加工で苦労することになる。生産プロセス全体を見ながら、部品ごとに最適な公差を設定することが重要です。
公差は設計と生産の懸け橋
公差は、ものづくりに携わる技術者にとって基本中の基本です。設計で決めた部品の形状や大きさが、実際に製造したときにその通りになるとは限らない。 必ず発生するバラつきを、どの程度許容するのか。公差情報は、設計内容を実体化する上で不可欠な、設計と生産の懸け橋です。