金型とは?
金型とは、製品を早く、安く、均一に作るための金属で出来た型のことをいいます。 例えば、たい焼きを作る鉄板などは金型の一種です。
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金型の重要性
金型は現在の工業を支えている非常に重要なものです。 金型がなくては自動車も、テレビも作れません。 たとえ作ることができても値段は数十倍、数百倍になり品質も不安定になると思われます。これまでの金型製作は、企業ごとのノウハウが多く、人も多くの経験と熟練を必要としました。しかし現在はコンピュータを使った設計方法(CAD)や容易に加工できるNC(数値制御)工作機械およびCAM(コンピュータによる製造)、CAE(解析)があります。これらを活用することで、早く正確に金型の設計や加工ができるようになりました。
金型がひとつあれば同じものを大量に速く、しかも安くつくることができます!
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なぜ?金型を使うのか? 5つのポイント
①同じものが速くできる
例えばチョコレートを型に流し込むと同じ形をいくつも作れる。
②正確でばらつきがない
型から写し取ったものは個々の差が少ない。
③使う人は熟練が不要
型を使うと高い専門技術が不要で大勢の人が簡単に使いこなせる。
④時間が経っても、人が替わっても変わらない
いったん型を作ると長い年月が過ぎても 使う人が替わっても影響がない。
⑤失敗が少なく、材料などにムダが少ない
スクラップ(くず)になる量が少なく、材料のムダを少なくできる。
金型をつくる会社 3つのタイプ
①商品を生産するメーカー
②部品加工業者
③金型メーカー
金型が出来るまで
①製作の指示
②仕様書の作成
製品の品質、使用する機械加工用材料、生産条件
③金型の設計
組立図の作成、金型部品の作成、部品表その他の書類作成
④材料、購入金型部品の手配
金型材料の手配、購入する金型部品の手配
⑤金型部品の機械加工
切削加工、研削加工、放電加工、その他の機械加工
⑥仕上げ・組立
部品の確認、部品の手仕上げ加工、金型の組立
⑦試し加工と調整
金型を機械に取付け、試し加工。
サンプルの作成、製品の品質確認、不具合調整および修正
⑧完成・出荷
金型を使った生産方法
材料 ⇒ 部品を生産する機械(金型+専用の機械+装置) ⇒ 製品
金型は専用の機械と装置に組み合わされて使用されます。
専用の機械(プレス機械、プレスチック用射出成形機など)
自動化装置(材料を金型へ送り込んだり、製品を取り出したりする装置)
製品の品質の大部分は、金型で決まります!
金型の種類
大きく2種類に分類されます。
ダイ
金属の薄板や金属の塊を、抜いたり、潰したり、曲げたり、材料を徐々に変形させて最終形状にする。
・プレス金型(薄板加工用)
・鍛造型(熱間、温間、冷間)
・板金機械用金型(切断、曲げ、その他)
・専用機用金型(板材加工用、各種専用機用)
・金属以外のシート材用抜き型(紙、皮、その他)
モールド
ダイよりも加工速度は遅いが、1つの工程で最終形状へと一気に生産する。
・プラスチック用射出成形型
・プラスチック用圧縮成形型
・ダイカスト型
・ガラス型
・ゴム型
・粉末成形型
・金属射出成形金型(MIM)
生産する製品によって適した方法を選択します!
プレス
プレス加工は、金型の間に金属板の素材を置き、てこ・ねじ・水圧・油圧などを利用して 強圧で成形する加工方法です。いろいろな加工を短時間でできるので、量産品に最適です。
プレス加工の目的は、大きく以下の3つに分類されます。
①せん断加工
外形や穴などの所定の形状に打ち抜いたり、切断したりします。
②曲げ加工
金属板を直角やV字型に曲げます。
③絞り加工
金属板を徐々に伸ばし、継ぎ目のない立体的な形状に変形させます。
射出成形
射出成形は、プラスチック原料を加熱シリンダの中で加熱・混練して流動状態にし、閉じた 金型の空洞部に加圧注入して金型内で冷却固化させることにより、金型の空洞部に相当 する形を作る方法です。英語ではインジェクション・モールディングと呼ばれています。 そのため、インジェクション金型と呼ぶこともあります。インジェクションとは注入とか、注射 という意味です。
鋳造
鋳造は、鋳鉄・アルミニウム合金・銅・真鍮などの金属を、融点よりも高い温度で熱して 液体にしたものを型に流し込み、冷やして固める成形方法です。 鋳造に使用する型のことを鋳型(いがた)、鋳造でできた製品のことを鋳物(いもの)、 液状になった金属のことを湯(ゆ)と呼びます。
ダイカスト
ダイカストとは、溶けた金属を金型に圧入することにより、高精度で良好な鋳肌の鋳物を 高速で大量生産する鋳造方法の一種です。また、一般にダイカストという言葉は、 その鋳造方法を指すだけでなく、この方法によって成形された製品のことも指します。
鍛造
鍛造とは、素材を金型で叩いて変形させる成形方法です。 強度を必要とする自動車部品などに多用されます。 素材を加熱し、柔らかくしてから叩く熱間鍛造と室温のまま叩く冷間鍛造があります。 冷間鍛造の方が高精度な成形が可能ですが、加工する材料の強度によっては金型を 破損する恐れがあります。
金型を作るための機械の紹介
「機械を作る機械」と呼ばれる金型工作機械
マニュアル工作機械
作業者がハンドルを回して刃物やテーブルを動かして加工する
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NC工作機械
コンピュータで作成したデータの通り自動で正確に加工する金型でよく使われるNC工作機械
マシニングセンタ
多くの刃物を保管し、自動で交換しながら決められたとおりの形状に加工していく切削加工機械
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放電加工機
電極と工作物の間に微小な放電をさせて、工作物の一部を溶かし吹き飛ばしながら加工をする。
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金型ができるまで
自動車の2大金型
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自動車のボディを構成する部品には、主に鉄などの金属でできた「プレス部品」とプラスチックなどの樹脂でできた「樹脂部品」があります。
プレス部品と樹脂部品は材料だけでなく、作り方も異なりますが、つくるための道具である金型を使うという点では共通しています。
プレス部品
金型の間に金属板(コイル材)を置き、 てこ・ねじ・水圧などを用いて強圧で曲げたり、 せん断して成形する。
樹脂部品
溶解した樹脂を高速で金型に流し込み、 金型内で冷却固化させることにより、金型空洞部に相当する形をつくる。
金型ができて、部品をつくり、組み上げていくと 実際に走れる自動車ができるわけですが、 デザイナが思い描いた通りに実際の自動車を つくりあげるのは実に難しいことです。 デザイナの要求通りの形では生産できなかったり、反対にデザインを変えてしまうと意味がなかったりなど、あらゆる問題が発生しますが、 最後は互いのもてる技術を結集してデザイナの意思をいかしつつも、実際につくれて走れる自動車を世に送り出しています。