「品質の良い製品を作りたい」
「市場で故障しない製品を設計したい」
このような課題を解決するために重要なのが信頼性設計です。
製品は、出荷時に正常に動作するだけでは十分ではありません。お客様が長期間安心して使用できることが求められます。そのためには、故障を未然に防ぐための設計が欠かせません。
信頼性設計の基本から代表的な手法まで、初心者にも分かりやすく解説します。
信頼性設計とは?
信頼性設計とは、
「決められた期間、決められた環境で、製品が期待どおりの性能を発揮し続けるように設計すること」です。
単に「壊れない製品」を目指すのではなく、
- 使用環境
- 使用期間
- 使用条件
- メンテナンス方法
まで考慮して設計を行います。
例えば、
- 自動車
- 家電
- 医療機器
- 航空機
- 工作機械
- 電子機器
など、安全性が求められる製品では信頼性設計が非常に重要です。
なぜ信頼性設計が重要なのか?
市場で故障が発生すると、
- 修理費用
- 保証費用
- リコール対応
- ブランドイメージの低下
- 顧客離れ
など、多くの損失が発生します。
設計段階で故障要因を減らすことにより、
- 品質向上
- コスト削減
- 顧客満足度向上
につながります。
「品質は製造工程で作るもの」と思われがちですが、
実際には品質の約70~80%は設計段階で決まるとも言われています。
信頼性設計で考えるポイント
① 使用環境を考える
製品が使用される環境を把握します。
例えば、
- 高温
- 低温
- 湿度
- 振動
- 衝撃
- 粉塵
- 水
- 紫外線
- 塩害
などです。
設計時に想定外の環境があると、早期故障につながります。
② 部品寿命を考える
部品には寿命があります。
例えば、
- ベアリング
- コンデンサ
- モーター
- バッテリー
- ゴム部品
などは経年劣化します。
寿命を考慮した部品選定が重要です。
③ 安全率を確保する
設計では、
- 強度
- 温度
- 電流
- 荷重
などに余裕(安全率)を持たせます。
限界ギリギリで使用すると、故障リスクが高くなります。
④ 故障モードを考える
「どのように壊れるのか?」
を事前に洗い出します。
例えば、
- 摩耗
- 疲労破壊
- 腐食
- クラック
- 接触不良
- 過熱
- 断線
などです。
信頼性設計で活用される代表的な手法
FMEA(故障モード影響解析)
設計段階で
- どんな故障が起きるか
- 原因は何か
- 影響は何か
を分析します。
優先順位を決めて改善する代表的な品質手法です。
FTA(故障の木解析)
重大事故を頂点として、
「なぜその故障が起こったのか」
を論理的に分析します。
事故原因を体系的に調査できます。
DRBFM
設計変更時に
「変更したことで何が起きるか」
を重点的に検討する手法です。
トヨタで有名になった設計品質向上手法として知られています。
ワイブル解析

試験データから
- 故障率
- 寿命
- 故障傾向
を分析します。
寿命予測や部品評価によく使用されます。
信頼性試験
実際に製品を試験し、
設計どおりの寿命があるか確認します。
代表例として、
- 耐久試験
- 加速寿命試験(ALT)
- HALT
- HASS
- 温湿度試験
- 振動試験
- 落下試験
- 防水試験(IP試験)
などがあります。
バスタブ曲線を理解しよう
信頼性設計では有名なのが「バスタブ曲線」です。

故障率は次の3つの期間に分かれます。
初期故障期
製造ばらつきや初期不良が原因で故障率が高い時期。
対策としてスクリーニング試験やエージングを行います。
偶発故障期
故障率が低く安定した期間。
製品本来の使用期間です。
摩耗故障期
経年劣化により故障率が増加する期間。
部品交換や寿命設計が重要になります。

信頼性設計の流れ
一般的には次のような流れで進めます。
- 使用条件を明確にする
- 要求寿命を設定する
- 故障モードを洗い出す
- リスク分析(FMEAなど)
- 部品選定
- シミュレーション
- 試作評価
- 信頼性試験
- 改善
- 量産
設計と評価を繰り返しながら、品質を高めていきます。

信頼性設計はコスト削減にもつながる
「信頼性を高めるとコストが上がる」と考えられがちですが、実際には逆の場合も少なくありません。
市場で故障が発生すると、
- 修理対応
- 保証費用
- 部品交換
- 現地対応
- リコール
- 信頼失墜
など、多大なコストが発生します。
設計段階で故障を防ぐことは、ライフサイクル全体で見れば大きなコスト削減につながります。
まとめ
信頼性設計とは、単に「壊れない製品」を目指すのではなく、「使用環境や使用期間を考慮し、期待される性能を長期間維持できる製品を実現するための設計活動」です。
設計初期から信頼性を意識することで、市場故障の低減、品質向上、コスト削減、そして顧客満足度の向上につながります。
近年では、シミュレーション技術やAIの活用により、設計段階で故障リスクを予測・評価する取り組みも進んでいます。今後は、従来の経験や勘だけに頼るのではなく、データと解析を組み合わせた信頼性設計がますます重要になるでしょう。
製品の価値を長く維持するためにも、信頼性設計はこれからのものづくりに欠かせない重要な考え方といえます。
